
「ステロイド注射を打ったのに、数週間で痛みがぶり返した」 「湿布をしてサポーターで固定しているのに、ズキズキする痛みが止まらない」 「医者からは『スマホをやめろ』と言われるが、仕事で使わざるを得ない」
もしあなたが今、このような「出口のないトンネル」にいるなら、この記事はあなたのためのものです。
多くの方が、整形外科で「使いすぎ」と診断され、手首という患部だけの施術に終始しています。 しかし、難治性腱鞘炎の専門家としての視点から言えば、それは「火事の現場(手首)に水をかけているだけで、火元(原因)を消していない」状態です。
実は、医学的な研究において、緩和しないドケルバン病の背後には、手首とは離れた「首」や「鎖骨」のトラブルが隠れていることがわかっています。
本記事では、病院では教えてくれない「注射が効かない解剖学的理由」と、スマホ時代特有の「隠れた原因」を解き明かし、根本解決へのロードマップを提示します。
1. なぜ「注射」が効かないのか?解剖学的な「壁」の正体
ドケルバン病の施術において、ステロイド注射は本来、劇的な効果を発揮するはずです。それがなぜ、あなたには効かなかったのでしょうか?
薬剤への耐性がついたからではありません。「物理的に薬が届いていない」可能性が高いのです。
解剖学の罠:「隔壁(かくへき)」という邪魔者
通常、親指を動かす2本の腱は、手首の同じトンネル(腱鞘)の中を通っています。医師はこのトンネルの中に薬を注射します。
しかし、最新の研究によると、日本人の約60〜70%において、このトンネルの中に「隔壁(セプタム)」という仕切りが存在し、部屋が2つに分かれていることがわかっています。
- 医師の狙い: トンネル全体に薬を行き渡らせたい。
- 実際の現象: 注射針は「太い方の部屋」には入るが、隔壁に阻まれて「もう一方の部屋(炎症が強い場所)」には薬が一滴も届いていない。
これは医師の腕が悪いのではなく、あなたの手首の構造が特殊だから起こる現象です。 だからこそ、再発を繰り返す場合は「超音波(エコー)」を使って、隔壁の有無を確認しながら注射してくれる専門医を探すことが重要になります。

2. 手首は「被害者」にすぎない。真犯人は「首」に潜む
「隔壁」の問題をクリアしてもなお痛む場合、あるいは安静にしていてもズキズキ痛む場合、疑うべきは「ダブルクラッシュ症候群(二重圧迫)」という病態です。
神経は「川」のように流れている
神経を川に例えてみましょう。 上流(首)でダムが塞き止められて水流(血流や栄養)が悪くなると、下流(手首)の生態系は弱り、少しの環境変化ですぐに荒廃してしまいます。
- 上流のトラブル: スマホ首(ストレートネック)や猫背により、頸椎(C6/C7)や鎖骨の下で神経が圧迫される
- 下流の脆弱化: 手首を通る「橈骨神経(とうこつしんけい)」への栄養供給が滞り、神経が過敏になる
- 些細な刺激で発火: 健康な人なら何ともない程度のスマホ操作でも、弱った神経にとっては「激務」となり、猛烈な炎症(痛み)を引き起こす
これを医学用語でDouble Crush Syndrome(ダブルクラッシュ症候群)と呼びます。
この場合、いくら手首(下流)に湿布を貼っても、首(上流)のダムを解放しない限り、痛みという名の洪水は止まりません。
3. 「スマホ腱鞘炎」の正体は、胸から親指への「見えない糸」
「親指を酷使したから痛い」というのは、半分正解で半分間違いです。 現代のドケルバン病は、「動かす」ことよりも「固める(固定する)」ことで悪化しています。
【3秒でできる実験】胸と親指のつながりを体感しよう
「アナトミートレイン(筋膜経線)」という視点で見ると、親指の筋肉は腕だけでなく、胸の筋肉(小胸筋)と深くつながっています。 論より証拠、今すぐ実験してみましょう。
- 痛い方の手の親指を、少し動かして痛みの感じを確認します。
- 反対の手の指で、痛い側の「鎖骨の外側すぐ下(小胸筋)」をグッと強めに押さえます。
- 押さえたまま、もう一度親指を動かしてみてください。
いかがですか? 「あれ? さっきより指が軽く動くかも」「痛みが少し減った」と感じたなら、あなたのドケルバン病の原因は、手首ではなく「胸(猫背)」にあります。
つまり、「猫背でスマホを見ている」その姿勢自体が、筋膜という見えない糸を通じて、常に手首を引っ張り、ダメージを与え続けているのです。
4. ドケルバン病を緩和するための「大逆転」アプローチ
病院の常識(安静・注射・手術)を超えて、プロフェッショナルとして提案する解決策は以下の3ステップです。
STEP 1:首と鎖骨を解放する(上流の施術)
手首が痛くても、まずは「首の付け根」や「鎖骨の下(小胸筋)」を緩めてください。神経の通り道(胸郭出口)を開放し、手首への血流と神経伝達を回復させます。
セルフケア: 先ほどの実験で押さえた「鎖骨の下」を指で押さえながら、首を反対側にゆっくり倒すストレッチが有効です。
STEP 2:隔壁を考慮した専門医を探す
もし注射が必要なほど痛みが強い場合は、「エコー(超音波)ガイド下」で注射を行ってくれる専門医を探してください。 「隔壁があるかもしれない」という前提で施術してくれる医師であれば、薬を確実に患部に届けることができます。
STEP 3:スマホの持ち方を変える(摩擦の回避)
両手で操作する、あるいは音声入力を活用するのがベストですが、片手で操作する場合は「スマホリング」などを使い、親指を浮かせるための筋力を温存してください。
そして何より、「脇を締めて、胸を開く」こと。これが手首への負担を減らす最強の防御策です。
【臨床報告】注射を繰り返していた40代女性の改善例

当院に来られた40代の女性Aさんは、育児とスマホの使いすぎでドケルバン病を発症し、整形外科で3回ステロイド注射を受けましたが、そのたびに数週間で痛みがぶり返していました。
初回の検査で、Aさんの首の付け根と鎖骨の下に強い緊張があることを発見。さらに、猫背でスマホを見る姿勢が習慣化していました。
施術の内容: 手首だけでなく、首・肩・胸の筋肉を丁寧に緩め、姿勢指導とスマホの持ち方をアドバイスしました。
その後の経過: 3回目の施術後、「朝起きたときの手首の痛みがなくなった」と喜びの声をいただき、6回目には「子どもを抱っこしても痛くない」と笑顔で報告してくださいました。
Aさんのように、手首だけでなく「体全体のバランス」を整えることで、長年の痛みから解放される方は少なくありません。
※写真はイメージです。施術効果には個人差があります。
手首を責めないでください
あなたの手首の痛みは、あなたの体からの「SOS」です。 しかしそのSOSの発信源は、手首そのものではなく、酷使された「首」や「姿勢」にあるかもしれません。
患部という「被害者」をいじめるのはやめて、真の「加害者(原因)」にアプローチする。 この視点の転換こそが、長年の痛みから解放される唯一の鍵なのです。
注射も安静も効かず、手術を勧められているあなたへ。まだ諦めないでください。 根本原因にアプローチすれば、改善の道は必ず開けます。
一緒に、痛みのない生活を取り戻しましょう。
Q ステロイド注射を打ったのに、すぐ痛みがぶり返すのはなぜ?
日本人の約6〜7割にこの隔壁があると言われています。部屋が2つに分かれているため、通常の注射では炎症が強い側の部屋に薬が入っていないケースが多いのです。解決には「エコー(超音波)」で内部を確認しながらの注射が必要です。
Q 湿布をして固定しているのに、ズキズキ痛みが止まりません。
上流(首・鎖骨)で神経の流れが悪くなると、下流(手首)が過敏になり、少しの刺激でも激痛を感じるようになります。この場合、手首を冷やすよりも、首や鎖骨周りの緊張を解くことが先決です。
Q スマホ操作で指が痛くならないコツはありますか?
親指の筋肉は、筋膜を通じて「胸(小胸筋)」とつながっています。猫背になると胸の筋肉が縮こまり、見えない糸で親指を引っ張り続けてしまいます。脇を締めて、胸を張った姿勢で操作することで、手首への負担は劇的に減ります。
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