【ストレッチで悪化した仙腸関節痛】その原因は「緩みすぎ」?プロが教える固定と圧着ケア

「腰やお尻が痛いから、一生懸命ストレッチをしているのに改善しない」 「健康のためにヨガで股関節を開くポーズをしたら、逆に歩けなくなってしまった」 「整骨院でマッサージを受けると、その時はいいけど家に帰ると激痛が走る」

もしあなたが今、このような状況に陥っているなら、直ちにその「良かれと思ってやっているストレッチ」を中止してください。

歴27年、何万人もの腰痛患者さんと向き合ってきた治療家として、どうしてもお伝えしたいことがあります。 あなたのその長引く仙腸関節痛(せんちょうかんせつつう)が改善しない最大の原因。 それは、「患部を緩めすぎていること」にある可能性が高いからです。

一般的に「痛み=筋肉のコリ(硬さ)」と思われがちです。 しかし、仙腸関節のトラブルに関しては、その常識は通用しません。 むしろ、「グラグラに緩んで不安定になっている関節」を、さらにストレッチで広げてしまい、症状をこじらせているケースが後を絶たないのです。

本記事では、なぜストレッチが逆効果になるのか。 その医学的メカニズムと、医師も採用する関節治療法(AKA博田法)の理論に基づいた「圧着(あっちゃく)して整える」という解決策をお伝えします。

【セルフチェック】あなたは「緩みすぎ」タイプ?

まずは、あなたの腰痛が「ストレッチしてはいけないタイプ」かどうかを確認しましょう。 以下の項目に当てはまる場合、あなたの仙腸関節は固まっているのではなく、「緩んでグラグラ(不安定)」になっている可能性が高いです。

  • 仰向けで寝ると、腰やお尻が痛くて伸ばせない
  • 前かがみになるより、腰を「後ろに反らす」方が痛い
  • 産後、または急に体重が増えてから痛くなった
  • 痛い側の方を下にして寝ると痛む

判定: これらに1つでも当てはまる方は、「緩みすぎ(不安定型)」です。 これ以上関節を広げるストレッチは、火に油を注ぐ行為になりかねませんので、今すぐ中止してください。

1. なぜ「ストレッチ」で仙腸関節痛が悪化するのか?

まず、敵を知ることから始めましょう。 仙腸関節は、肩や股関節のように「大きく動くこと」が目的の関節ではありません。 上半身の体重を支え、地面からの衝撃を受け止める「不動の土台(荷重関節)」であることが最大の使命です。

仙腸関節は「パズル」のように噛み合っている

仙腸関節は、骨盤の「仙骨」と「腸骨」が合わさる場所。 健康な状態では、ザラザラした関節面同士がパズルのようにガッチリと噛み合い(Form Closure)、強力な靭帯で締め付けられています。

この「締め付け(圧着)」があるからこそ、私たちは重い体を支えて、二本足で歩くことができるのです。

あなたの関節は「固い」のではなく「グラついている」

仙腸関節痛を感じている時、多くのケースで関節は「固まって」はいません。 むしろ、靭帯が緩み、パズルの噛み合わせがズレて「グラグラ(過可動・不安定)」になっている状態が多いのです。

  • 誤った常識: 「痛いから固まっている。伸ばして緩めなきゃ。」
  • 臨床の真実: 「緩んでズレている。これ以上伸ばすとバラバラになる!」

傷口が開いて痛い時に、傷口を広げるストレッチをする人はいませんよね? 不安定な仙腸関節をストレッチすることは、それと同じく「傷口(関節)を無理やりこじ開ける行為」に他なりません。 これが、ストレッチで悪化してしまうメカニズムです。

2. 絶対にやってはいけない「2つの危険なストレッチ」

特に、炎症が強い時期(ズキズキ痛む急性期)や、上記のセルフチェックに当てはまる方は、以下の動作を避けてください。 関節を「破壊する方向(ベクトル)」に力が働いてしまいます。

ハムストリングス(太もも裏)の強いストレッチ

  • どんな動き?:前屈などで強く太もも裏を伸ばす動作。
  • なぜ危険?:骨盤が回転し、仙腸関節の噛み合わせを外す動き(カウンターニューテーション)が強制されます。結果、関節内で「剪断力(ズレる力)」が発生し、炎症が悪化します。

ヨガの「鳩のポーズ」や「あぐら・開脚」

  • どんな動き?:股関節を大きく開く、ねじる動作。
  • なぜ危険?:太ももの骨がテコの原理で「バール」のような役割を果たし、仙腸関節をグイッとこじ開けてしまいます。特に女性はホルモンの影響で靭帯が緩みやすいため、生理前などは要注意です。

3. プロの正解は「緩める」ではなく「締める(圧着)」

では、どうすればいいのでしょうか? 答えはシンプルです。グラグラして摩擦力がなくなった関節を、もう一度ガッチリと噛み合わせればいいのです。 これを専門用語で「圧着(Compression)」と呼びます。

構造医学・AKA博田法の視点

当院では、医師も採用している関節治療法「AKA博田法(エーケーエーはかたほう)」や構造医学の理論に基づき施術を行っています。 これらの理論では、炎症がある関節を無理に引っ張ったり、強いマッサージで揉みほぐしたりすることはしません。

「関節面を押し付け(圧着)ながら、数ミリ滑らせる」という非常に繊細なアプローチをとります。 圧着することで、ズレて引っかかっていた関節が「カチッ」と本来のレールに戻り、スムーズな潤滑を取り戻すのです。

4. 今日からできる「圧着」セルフケア

ストレッチを一旦お休みして、以下の「安定化」アクションに切り替えてみてください。 関節が安定することで、驚くほど痛みが緩和されることがあります。

STEP 1:骨盤ベルトで「物理的に」締める

急性期(痛みが強く歩くのが辛い時)は、迷わず骨盤ベルト(仙腸関節ベルト)を使ってください。

  • 重要なのは「巻く位置」:ウエストではなく、「大転子(太ももの横の出っ張り)」と「恥骨」を通るラインで、強めに締めます。
  • 効果:物理的に関節面が圧着され、グラつきが止まります。これだけで歩行が楽になる方が大勢いらっしゃいます。

STEP 2:テニスボール挟み(アイソメトリック)

関節を動かさずに、インナーマッスルを入れて締める運動です。

  1. 仰向けになり、両膝を立てます。
  2. 膝の間にテニスボール(またはクッション)を挟みます。
  3. 「お尻の穴を締める」意識を持ちながら、膝でボールをゆっくり潰します。
  4. 注意点:全力でやってはいけません。「全力の3割くらいの力」で、痛みが出ない範囲で行ってください。5秒間キープを10回繰り返します。

この動作は、骨盤底筋と内転筋を連動させ、仙腸関節を前方から安定させます。

【臨床の報告】ヨガで歩けなくなった40代女性のケース

先日、40代の女性がご家族に肩を借りて、やっとの思いで来院されました。 「健康のためにホットヨガに通い始め、股関節を広げるポーズを熱心に行った翌日から、お尻に激痛が走り歩けなくなった」とのこと。

来院時の状態 典型的な「仙腸関節の緩み(過可動)」の状態でした。 良かれと思って行ったストレッチが、もともと緩んでいた関節をさらにこじ開けてしまい、強い炎症を起こしていたのです。

当院のアプローチ マッサージやストレッチは一切行わず、「関節の圧着(整復)」と「サラシによる固定」を行いました。 バラバラになったパズルを、正しい位置にはめ込んで固定したのです。

その後の経過 施術直後、「足が地面に着ける!」と驚かれ、自力で歩いて帰られました。 その後、2週間ほどベルトでの固定を続けていただき、関節が安定したことで、今ではヨガ(無理なポーズ以外)も再開され、元気に生活されています。

※施術の効果には個人差があり、成果を保証するものではありません。

よくある質問
Q お風呂で温めると楽になる気がするのですが、温めてもいいですか?
A.
痛みの種類によります。
「ズキズキ」とうずくような鋭い痛み(急性炎症)がある時は、温めると血流が増して逆効果になることがあります。その場合は一時的に氷嚢などで「冷やす(アイシング)」のが有効です。

逆に、ズキズキ感がなく「重だるい」感じであれば、温めて循環を良くしていきましょう。
Q ずっとベルトをしていると筋力が落ちませんか?
A.
「痛くて動けない」ことによる筋力低下の方が、はるかにリスクが高いです。
まずはベルトで痛みをコントロールし、動ける状態を作ることが最優先です。痛みが引いてきたら徐々に外す時間を増やすことで、筋力が落ちる心配はありません。
Q 痛みがなくなったらストレッチを再開してもいいですか?
A.
はい、関節が安定すれば適度な運動は有効です。
ただし、仙腸関節に負担のかかる「開脚」や「強い前屈」は慎重に行う必要があります。「痛みが出る動作」は体が拒否しているサインですので、無理に行わないようにしましょう。

仙腸関節は「あまのじゃく」

普通の腰痛(筋肉痛)とは違い、仙腸関節痛は「労わる(緩める)と悪化し、厳しく(締める)すると良くなる」という、少しあまのじゃくな性質を持っています。

「体が硬いから痛いんだ」という思い込みを、今日で捨ててください。

あなたの仙腸関節に必要なのは、柔軟性ではなく「安定性」かもしれません。

今日から「伸ばす」をやめて「締める」を始めれば、そのしつこい痛みから解放される日は必ず来ます。

もしセルフケアでも安定しない、痛みが強いという場合は、西葛西のカミヤ治療院にご相談ください。 プロの手で、あなたの関節を正しい位置に「カチッ」と戻します。

痛みを我慢しなくていいんですよ。 一緒に、スタスタ歩ける体を取り戻しましょう。

※施術の効果には個人差があり、成果を保証するものではありません。

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