
「湿布を貼っても、サポーターをしても、肘の外側のズキズキが止まらない」 「テニスなんて一度もしたことがないのに、なぜテニス肘?」 「安静にしろと言われるが、仕事を休むわけにはいかない」
もしあなたが今、発症してから数ヶ月以上続く「出口のない痛み」に悩まされているなら、この記事はあなたのためのものです。
歴27年、延べ数万人の施術を行ってきた整体師としてお伝えしたいことがあります。 あなたのテニス肘が良くならないのは、「使いすぎ(炎症)」だけが原因ではなく、長期間のデスクワークによる「動かさなすぎ(固まり)」と「姿勢の崩れ」が複雑に関係している可能性が高いからです。
整形外科での治療は「急性期(痛みの出始め)」には非常に有効ですが、慢性化したデスクワーク特有の病態には、また別のアプローチが必要です。 ラケットを振る衝撃ではなく、「マウスを持つ指の硬直」と「猫背」が、あなたの肘を静かに、しかし確実に壊しているのです。
本記事では、プロだけが知る「デスクワーク特有の慢性的なテニス肘」の正体を解明し、痛みを断ち切るための解決策をお伝えします。

1. なぜ「安静」や「湿布」だけで治らないのか?
まず、痛みのステージについて理解しましょう。 テニス肘には、大きく分けて「急性期」と「慢性期」の2つのステージがあります。
- 急性期(発症直後〜数週間): ズキズキと激しく痛む「火事(炎症)」の状態。この時期は、整形外科での処置(安静、アイシング、湿布)が非常に有効です。
- 慢性期(3ヶ月以上〜): 鈍い痛みが長く続く状態。組織が劣化して硬くなる「変性」が始まっています。
「火事」ではなく「ボロボロの古タイヤ」
あなたが今悩んでいる半年以上続く痛みは、後者の「慢性期」に入っている可能性が高いです。 これは、ゴムが劣化してひび割れた「古タイヤ」のような状態です。
すでに火事(炎症)は収まっていることが多いため、冷やしたり、単に安静にしたりするだけでは、硬くなった組織は修復されにくいのです。 むしろ、この時期に必要なのは、「適切な血流改善」と「組織の柔軟性を取り戻すこと」です。
2. マウス操作の罠:「クリック」ではなく「待機」が肘を壊す
「そんなに激しくクリックしていないのに…」と思うかもしれません。 しかし、問題は「動き」ではなく「止まっている時間」にあります。
指の「ホバリング」が起こす酸欠
今、マウスを握っている自分の手を観察してみてください。 人差し指と中指を、いつでもクリックできるように「空中で少し浮かせて」いませんか? これを「フィンガー・ホバリング」と呼びます。
指を数ミリ浮かせ続けるために、腕の筋肉はずーっと弱い力で縮み続けています。 筋肉にとって、この「弱い力で固定し続ける」状態が最も過酷です。ポンプ作用が働かないため、筋肉内の血管が圧迫され続け、「局所的な酸欠(窒息)」が発生します。
- スポーツのテニス肘: 強い衝撃で腱が傷つく。
- デスクワークのテニス肘: 「指の筋トレ」を8時間続けているようなもので、酸欠で腱が劣化する。
これが、あなたがキーボードやマウスに触れているだけで肘が痛くなるメカニズムです。

3. 肘は「被害者」。真犯人は「猫背(巻き肩)」にいた
さらに視野を広げると、肘への負担を倍増させている黒幕が「背中」にいることがわかります。
肩がサボると、肘が泣く
人間の腕は、肩甲骨という土台が安定して初めて、指先を器用に動かせるようにできています。 しかし、デスクワーク特有の「猫背・巻き肩」になると、肩甲骨が外側に開き、グラグラに不安定になります。
土台である肩甲骨がグラグラすると、脳は無意識に「肘や手首の筋肉を固めて」腕全体を支えようとします。 つまり、あなたの肘の筋肉は、「マウス操作」という仕事に加え、「腕の重さを支える」という過重労働まで押し付けられているのです。
この「猫背」を整えない限り、いくら肘をマッサージしても、上流から負担が降り注ぎ続け、痛みは再発しやすくなります。
4. 治らない時に疑うべき「ニセモノ」の影
もし、あなたの痛みが「肘の外側」だけでなく、以下のような特徴があるなら要注意です。
- 腕の裏側や前腕全体が重だるい
- 夜中にズキズキとうずく
- 肘から指3本分ほど手首側を押すと激痛が走る
これはテニス肘ではなく、「ラジアルトンネル症候群(橈骨神経管症候群)」という、神経が筋肉に締め付けられている状態の可能性があります。 この場合、テニス肘用のバンド(エルボーバンド)を巻くと、圧迫を強めて逆効果になることがあるので、自己判断は禁物です。
【臨床報告】マウスが握れなかった40代SE男性のケース
先日、40代のシステムエンジニア(SE)の男性が来院されました。 「右肘が痛くてマウスが握れない。納期が近いのに仕事にならない」と、悲痛な表情で訴えられていました。
来院時の状態 半年間、一般的な治療を受けていましたが、痛みはなかなか引きませんでした。 お体を拝見すると、典型的な「猫背」に加え、マウスを持つ右手の指が、力を抜いてもピーンと伸びたまま固まっていました(ホバリングの癖)。
当院のアプローチ 当院では肘への局所的なアプローチに加え、以下の2点を重視しました。
- 肩甲骨へのアプローチ: 動きの悪くなっていた肩周りの筋肉を目覚めさせ、腕の重さを支えられるように調整。
- 指の伸筋リリース: 酸欠状態になっていた指の筋肉を一本一本丁寧に緩めました。
その後の経過 初回の施術で「あれ? 腕が軽い」と変化を実感されました。 その後、マウスの持ち方(指を浮かさない)のアドバイスも実践していただき、3回の施術を行った頃には、長時間のコーディング作業も無理なくこなせるようになりました。 「もう仕事を辞めるしかないかと思っていた」という不安から解放され、今では第一線で活躍されています。
※施術の効果には個人差があり、成果を保証するものではありません。
5. 歴27年のプロが教える「再生へのロードマップ」
硬くなった組織(腱)の柔軟性を取り戻し、負担のルートを変えるための、具体的な3ステップです。
STEP 1:マウスの持ち方を変える(ホバリング解除)
今日から意識してください。クリックしない時は、「指をマウスボタンの上にだらんと置く」か、マウスから手を離してください。 指を浮かせないだけで、筋肉への血流回復が期待できます。
STEP 2:前鋸筋(ぜんきょきん)を覚醒させる
サボっている肩甲骨の安定筋「前鋸筋」を使いやすくします。
- 壁に手をつき、肘を伸ばしたままにします。
- その状態で、「背中を丸めて肩甲骨を外に開く」動きを繰り返します。 これにより、腕を支える役目を肘から肩甲骨へと戻していきます。
STEP 3:アイソメトリック・ホールド(等尺性運動)
痛みのない範囲で筋肉に力を入れ、腱を強化するリハビリテーションの一種です。
- 準備: 痛い方の腕を体の前に出し、肘を軽く曲げます。手のひらは下に向けます。
- 抵抗をかける: 反対の手を、痛い方の手の甲に乗せます。
- 押し合い: 痛い方の手首を「反らす(上にあげる)」ように力を入れます。同時に、反対の手でそれを「上から押さえつける」ように抵抗をかけます。
- ポイント: 手首の角度は変えずに、その場で力が釣り合うようにします(動きません)。
- キープ: この「押し合っている状態」を10秒〜15秒キープします。これを3セット行います。
※痛みが増す場合はすぐに中止してください。
肘をいじめるのをやめましょう
あなたの長引く肘の痛みは、「指の上げすぎ」と「背中の丸まり」が生んだ犠牲者かもしれません。 患部(肘)のケアだけでなく、真犯人である「マウスの持ち方」と「姿勢」にも目を向けてみてください。
「使いすぎ」ではなく「使い方の間違い」を正せば、その痛みは解決へと向かっていきます。
西葛西のカミヤ治療院では、あなたのデスクワーク環境や癖を見抜き、根本から痛みを断つお手伝いをしています。 痛みを我慢して仕事を続けなくていいんですよ。 全力で働ける体を取り戻すために、ぜひ一度ご相談ください。
湿布を貼って安静にしているのに、なぜ治らないのですか?
急性期(痛みの出始め)には安静が有効ですが、慢性化した段階では、単に休ませるだけでは組織は修復されません。むしろ血流を改善し、固まった組織の柔軟性を取り戻すアプローチが必要です。
テニスをしたことがないのに「テニス肘」と言われました。
マウスをクリックする瞬間だけでなく、常に指を浮かせて待機させている間、腕の筋肉はずっと緊張し続けています。これが8時間続くと筋肉が「酸欠」になり、テニスで衝撃を受けた時と同じように腱が痛んでしまうのです。
肘以外に、姿勢なども関係ありますか?
土台である肩甲骨が不安定になると、腕の重さを支えるために肘の筋肉に過剰な負担がかかります。肘だけの治療で再発してしまうのは、この「姿勢の崩れ」が残っているためです。
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